鈴木 寛のBlog

ガソリン税に見るこの国の投資

国会では、ガソリン税などの昭和49年から続く暫定税率をめぐり、延長か廃止かで論戦が続いている。私は廃止による2兆6000億円の減税効果は大きくGDPで1%程度アップの経済効果は期待できると考えている。ブッシュ政権もサブプライム問題に対して約16兆円規模の減税策を発表したが、こうしたなか、断固、減税に反対する自公政権は、世界の投資家・経済専門家には奇異に映っている。需要が1単位増加した場合の産業連関効果も、公共事業は1.9倍と低く、通信機器で2.2倍、自動車が最も高く約3倍となっているので、自公政権が主張する十年間でさらに五十九兆円道路を作りつづける政策の愚は明らかだ。

私は、今回、この国の税金の使い方を本格的に変えていかないと、日本は再起不能になってしまうとの危機感すら抱いている。

経済における日本の世界的位置を見ると、1992年に一人当たりの国内総生産が世界第2位を誇っていた日本も、2006年には、OECD加盟先進国30カ国中18位に転落してしまった。この間、わが国の輸出依存は全く改善されず、2006年の依存度は1980年の貿易摩擦時よりも増えている。さらに米中両国への輸出依存は全体の3分の1を超え、両国の景気動向に、わが国が常に振り回される構造となってしまっている。こうした中、家計購買力の強化に加え、新たな産業創出の基盤となる知的投資が不可欠となっている。特に、研究開発、高度専門職業人養成への投資こそ、その国の将来を決めるのだ。

私は、研究開発投資と高等教育投資を合計したものを「知的立国のための投資」と呼んでいるが、依然として、日本は、公共事業投資対GDP比は、先進国主要各国の中で最も高く約3.7%、これに対し、知的立国投資(高等教育と研究開発への政府投資の合計)は対GDP比1.1%と最も低くなっている。「知的立国投資/公共事業投資」比率を各国比較すると、日本を1とすると、アメリカは2.2、イギリス2.75、フランス2.2、フィンランド2.96、ノルウェー2.48、スウェーデン2.86で、明らかにバランスを欠いている。

今回のガソリン税の議論は、20世紀型のハード依存土建国家から、21世紀型の環境・医療・知的立国へ大きく舵を切る絶好のチャンスだと私は思う。硬直化した税・予算を打破し、将来に向けてベストなものにしていかなければならない。だからこそガソリン税の一般財源化が必要なのだ。

たとえば、京都議定書の目標達成期間が始まったが、来年には、家庭用電源からの充電も可能なハイブリッド車が発売されるそうである。それに併せてハイブリッド車の自動車取得税を大幅に引き下げ、ガソリン車の自動車重量税(保有)を引き上げれば、ハイブリッド車への買い替えが促進され、二酸化炭素削減目標の達成に大きな弾みとなる。とりわけハイブリッド車は、電池など電機産業など裾野がさらに広がっているので、関連の知的産業への影響は絶大だ。

また、深刻化する救急医療崩壊も、交通事故関連を多く受け入れているので、ガソリン税の一部を使ってでも早急に解決すべき問題である。

一方、地方は道路建設がなくなると大変だとの声があるが、私は、暫定税率廃止と併せて地方自主課税権の付与を提案している。つまり、ガソリン税、自動車取得税等を地方税とし、すでに県税の軽油引取税も併せて、その税率と使途は、都道府県議会条例で定められるようにするのだ。本当に道路が必要なら、国税で1リットルあたり二十五円減税するのだから、県民に説明・説得して県知事・議会が県税として何円か増税し、道路を作れば良いのだと思う。

税金の使い方がこの国の将来を決める。そしてその鍵は、国民各層の議論の熟度にかかっているのだ。

2008-02-21 15:58:00

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鈴木 寛

参議院議員

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