福井 盛太のBlog

「パンク」としての歌舞伎。

昨日は、歌舞伎座に行って
打ち合わせをしていました。

06050101

One of the most traditional Japanese Theaters「KABUKIZA」.

私と歌舞伎との関わりは、
松本幸四郎丈松本幸四郎丈の写真集「KOSHIRO MATSUMOTO」
(撮影・十文字美信
が最初になります。

結局この写真集の編集作業をさせていただいたことで、
十文字先生という写真家、幸四郎丈という名優の
「プロの仕事」に触れ、刺激を受けまくって
独立を決意したということがあります。

その意味でも、私は歌舞伎に対して
ちょっとした思い入れがあるんです。

ここ数年は、これもまた何かの「縁」で、
市川海老蔵丈の仕事をする機会に恵まれています。
(一昨年は、海老蔵襲名披露パリ公演にも
行っていました)

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襲名披露公演が行われた「シャイヨー劇場」(上)。
市川團十郎丈の楽屋(下)。


ということで、昨日の打ち合わせも、
海老蔵さん絡みだったのです。

内容は……秘密です。

ところでみなさんは、「歌舞伎」というと
どのような印象をもたれますか?

派手な極彩色の衣装をまとった役者達による
荒唐無稽なストーリー?

伝統と格式でがんじがらめになった
退屈な古典劇?

まあ、どちらも遠からず、近からず、ですね。

私も初めは「伝統」や「格式」ばかりが
クローズアップされる、半ば天然記念物化した
舞踊劇・音楽劇かと思っていました。

ところが何度も観劇して、それなりに
「歌舞伎」というものの本質が理解できるようになると、
そんな認識を改めさせられることになります。

私は、歌舞伎のことを
「日本人が本来持っているパンクな精神
を表現する前衛舞台芸術」
なのだと思っています。

もともと歌舞伎という言葉は
傾きもの(カブキもの)が演じる舞台、
が語源になっています。

傾きもの=放蕩無頼、異端・異装の、
封建体制からはみ出てしまった溢れ者、のことです。

つまり、この傾きものというのはその意味からすると、
「パンクな人」ということになります。

脚本も、例えば赤穂浪士の討ち入りのような「社会的事件」があれば、
それをすぐに戯曲化し(これが「仮名手本忠臣蔵」です)、
体制批判とも受け止められるような
批評・批判精神に富んだ芝居を芝居小屋でかける。

簡単に言うと「パンクな人たち」が、社会的事象・事件を題材にした
芝居を、ユーモアと皮肉たっぷりに「ライブ」していたわけです。

もしも現代なら、「ライブドア事件」などはすぐに戯曲化され、
今頃歌舞伎座で、「五月大歌舞伎」と銘打って
連日超満員の大盛況となっていることでしょう。

これを「パンク」と言わずに何と言いましょう。

でも不思議なことに、400年にもわたって
役者が世襲され、狂言も何度も何度も舞台にかかってきたことで
いつの間にか「ありがたい」ものになってしまったんですね。

だからでしょうか、歌舞伎=オペラと並ぶ、知的で高尚で、高貴な芝居
だとはき違えてしまう人は多い。

でも、本質は違います。

第二次世界大戦後、日本を占領した米国が、
まっさきに「歌舞伎」を潰そうとしたことからも分かるように
そこに宿るのは「パンクな精神」。

で、海老蔵さんも、まったくもって「パンクな役者」です。

現在、ロックだ、パンクだと言っている若者にこそ
「歌舞伎」を観て欲しいですね。

これが、Made in Japanの「パンク」なのです。

2006-05-01 22:44:00

PROFILE

福井 盛太

福井 盛太

SPBS CEO/総合PD/ 編集責任者

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