木村 剛さんのメールマガジン、
とても面白かったので、
ここに掲載しておきます。
原文ママです。
ちなみに、国内法人の約97%は「中小企業」に分類されるのだそうです。
【以下文章】
最近、経済不祥事が頻発していることに関連して、二宮尊徳翁が残した「道徳なき
経済は罪悪である」という箴言が引き合いに出されることが多い。
薪を背負いながら本を読む少年金次郎の銅像で知られている二宮尊徳翁は、江戸
時代末期の優れた農政家であり財政家。正直に勤倹に生きることを旨とした二宮尊徳
の考え方に照らせば、「額に汗を流さない虚業は許さない」とか「額に汗しないビジネス
は虚業だ」という最近流行りの主張には大いに共感できるところでもある。
年初来、「額に汗を流さない虚業」の代表格として、ライブドアや村上ファンドが徹底的
に叩かれてきた。しかし冷静に見渡せば、額に汗して建築現場に出ている下請会社の
従業員は薄給であり、談合などで毎年のように批判されている元請けのゼネコンの
管理職は高給である。
また、額に汗して大企業に部品を納入している中小零細企業に勤める従業員の月給は、
熾烈なコストカットを一方的に言い渡す大企業の半分にすぎない。
額に汗して番組を作っている制作会社で働く少なからぬ技術者たちは年収300万円を
切っており、その番組を電波に乗せるだけのテレビ会社に所属しているプロデューサーは
年収2000万円を軽々と超えている。
ここに、日本社会における「格差問題」の核心がある。下請の中小企業は、死ぬまで
下請けのまま。まかり間違っても、元請け大企業の地位にまで登りつめることはできない。
現代版の「士農工商」がそこにある。
ホリエモンを「格差社会」の象徴という人は多いが、それは完全に誤っている。彼を東大
中退だと認識するから間違うのだ。正しく言えば、ホリエモンの最終学歴は高卒である。
硬直した学歴社会と思われがちの日本において、高卒のホリエモンが、名門の大企業を
震撼させるほどにライブドアを大きく育てたという事実は、現代版「士農工商」を覆す快挙
だった。ホリエモンは、「格差社会」を劇的に克服してみせた革命児だったのである。
無論、その手法が違法であれば、徹底的に断罪しなければならない。しかし、高卒の
ホリエモンは、格差を縮めてみせたのであって、拡大せしめたのではない。
テレビのキャスターは、「額に汗しないで、儲けてよいのか」とか「日本を格差社会にして
よいのか」と日々絶叫しているが、彼らは「格差問題」において「勝ち組」に属するテレビ
会社に雇われて、額に汗することなく稼ぐことができる寡占利益のおこぼれを享受している
立場にある。
「格差問題」を語りたいのであれば、自分の年収を明記したプレートを首からぶら下げながら
解説してみてもらいたい。「あのキャスターは、額に汗しているから、それくらいは当然だ」と
視聴者は思ってくれるだろうか。それとも、そのときになってはじめて、「額の汗だけじゃなくて、
才能も評価すべきだ」とか、「能力に見合った報酬は当然だ」と言い出すのだろうか。
二宮尊徳は、冒頭の箴言に続けて、「経済なき道徳は寝言である」と断言した。「道徳」が
成り立つためには「経済」も必要だからだ。「額に汗しないで儲けた奴はケシカラン」という
感情論だけで、視聴者の嫉妬心を煽り、「経済」の議論をないがしろにする報道はそろそろ
見直したほうがよい。
2006-07-16 20:51:00
