ウィーンに来て、気づいたことがありました。
それは、
電車内やホームで、
携帯電話を眺めていたり、
メールを打っている人間がほとんどいないということ。
それと、
街中では乳母車を押す夫人の姿が散見され、
子供たちが皆、本当に子供らしく元気で、無邪気で可愛いということ。
なぜなんだろう?
この、日本(というか東京)と違う空気は何なんだろう?
と思わずにはいられませんでした。
自分なりに推測してみたのですが、
それはきっと、物理的な不自由さの存在ゆえに獲得した
人間の精神の自由さがあるからなのかもしれません。
私たち東京人は、24時間営業のコンビニや携帯電話にPC、
テレビゲームにクラブ、プロ野球チームやプロサッカーチームや映画館、
ディズニーランドやブランドショップの存在が当たり前という環境下で暮らしています。
これらの存在は、確かに私たちの生活の快適性と利便性を向上させ、
さまざまな娯楽も与えてくれました。
一方で、利便性の向上と娯楽の多様化は人間の生活における時間配分を決定的に変え、
仕事や人付き合いや遊びなどの繁忙性と直結、心のゆとりを喪失させました
(心をなくすと書いて忙しいと読みます)。
人間と人間のコミュニケーションのあり方も劇的に変わり、
感情の通わない無機的な“電子文通”と、
コミュニケーション下手な人たちを大量生産しました。
ところが、ウィーンという街には、東京やNYC的な便利さはありません。
適度に不自由。
これはパリやロンドンという大都会を除く
欧州全体に言えることですが、
この不自由さが、時間配分の人間本意の自由度を
獲得させているのかなという気がします。
ようするに、東京ほど娯楽やメディアが過剰流通してないから、
やることがないんです。
やることがないから、ゆとりがあるし、何か工夫をする。
何かだらだら長くなりましたが、
自分本位でメディア(インターネットなど)を使い、
娯楽に身を投じているつもりが、
知らず知らずのうちにメディアや娯楽の側に
こちらの生活が支配されてしまう。
これが現代東京人の病なのではないか??
そんなことを今回の滞在中、考えていました。
(まあ、こんなことをネットで書くこと自体、自己矛盾してますが)
さて、(ようやく)昨日の続きです。
・12月28日 夜。 10年ぶりにシュターツ・オパーへ。
クリスマスシーズンの定番・バレエ『くるみ割り人形』を観劇。
男女の踊りのパートを入れ替えてあったりと、
ユーモアが随所に散りばめられていました。
これは、オーソドックスな演出を観たことのある人の方が楽しめたかも。
・12月29日 ベルヴェデーレ宮殿へ。
ここで、ウィーン世紀末の画家グスタフ・クリムトの絵画と対面。
代表作の『接吻』はインパクト十分。
ああっ、生きてる間に見られて良かった……。
・同日 ベルヴェデーレ内のカフェで小休止。
ウィーン名物のケーキ「アップルシュトゥルーデル」を食す。
とても美味かったです。
・同日 地下鉄に乗って「カゾメーター」へ。
これは、19世紀に建てられたガスタンクをショッピングセンターに改築したもの。
外見は面白かったけど、中身は大したことなかったかな。
ロンドンのテートモダンの方が良かった。
・同日 再びウィーン中心部へ。
ウィーンの心臓、シュテファン寺院を見学。
ここは、モーツアルトの結婚式と葬儀が行われた場所としても有名。
私は、パリのノートルダム寺院よりもこちらの方が好き。
より、荘厳な雰囲気を感じるからです。
空気が、奈良や京都の寺院に近いのかもしれません。
・同日 腹が減ったので、巨大シュニッツェルで有名な
「フィグルミュラー」へ。
見よ! この巨大なシュニッツェル!
ただし、味は意外にあっさりしていて、
女子でも一枚食べられるくらいです。
きっと使っている油の質と、肉質が良いのでしょう。
(それを証明するかのように私のお通じは抜群でした)
シュニッツェルというと上品に聞こえますが、
日本で言う「紙カツ」みたいなものですな。
・12月30日 いよいよ憧れの「ムジークフェライン」へ。
本当は「ニューイヤーコンサート」が観たかったんです。
でも、あまりにチケットが高額なので、
「プレ・ジルベスタコンサート」にしました。
演目はニューイヤーのものと同じ。
とにかく感激、感激の2時間でした。
「黄金のホール」の素晴らしさはもちろん、
目の前で大好きなズービン・メータが指揮を振るっていること、
そしてウィーンフィルが演奏していること自体が信じられなかった。
一方で、少し嫉妬もしました。
きっと演奏技術だけなら、
ウィーンフィルに匹敵するオーケストラは、
日本にもあるかもしれないんです。
でも、ウィーンフィルという存在を超えることはできない。
なぜなら、ウィーンフィルには歴史と伝統、
そして、自国で育んできたという「物語」があるから。
それを、「ブランド」というのだけど、
「ブランド」は演奏技術と楽器性能だけでは超えられないんだゾ、
という現実も見せつけられた気がしたんです。
だから日本も、もっと自国で生まれた文化芸能に誇りを持って、
大切にしても良いのではないか、という気がしました。
それこそが日本のブランドだし、
ブランドにこそ観光客は金を払いたいと思うのだし、
仮に海外の人が真似をしても
ぜったいに超えられないモノだからです。
(ちなみにユーロスポーツでは、連日大相撲が中継されていました)
今度歌舞伎座が改装されますが、
どうせなら国家予算を使って、
日本建築の伝統と技術(宮大工さんの最高峰の技術とか)、
すべてを注ぎ込んで欲しいです。
・同日 興奮冷めやらぬママ、これまた人気店「プラフッタ」ヘ。
ウィーンの名物料理「ターフェルシュビッツ」を食す。
これ、激うまです。
牛のおしりの肉を鍋で煮込んであり、
食感は牛タンのよう。
肉のうまみもさることながら、
スープの味が絶品なのです。
肉汁がスープにとけ込んでいて、
上等なコンソメスープのようでした。
あまりに美味くて、あっという間に平らげました。
ワインも美味しかったです。
また行きたい……。
・同日 再びシュテファン寺院へ。
寺院内でコンサートをやっていたので聴きに行きました。
私の座った「カテゴリー2」のお値段は30ユーロ強。
意外に“聖人”も商売っ気あるんですね。
演目はヘンデルのメサイアやモーツアルトのレクイエムなど。
まあ、宗教音楽のヒットパレードです。
(以下、次回に続く。長くてごめんなさいm(__)m)
2007-02-05 02:10:00
