4月に開講し、プロフェッショナルコース・プロ志望者コース・アマチュアコースに分かれて行った写真の学校、「若木信吾×SPBS 写真ワークショップ2010。」。
プロフェッショナルコースの5名による展示『中間報告』 若木信吾×SPBS写真ワークショップ2010展 が今月の27日まで山梨のギャラリートラックスで行われています。
今週はそれに参加している写真家たちのレポートをご紹介します。
本日は若木信吾さんによる、この取り組みについての説明を掲載します。
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はじめに
このグループ展でワークショップのプロコースの方々に撮影していただいたのは、ここ1、2年で僕が仕事で出会った、特に印象に残っている人々や場所です。
それらは決して僕自身では見つける事ができなかったし、たとえ知っていたとしても撮影をする機会までたどり着けなかったでしょう。
写真家として被写体との出会いに恵まれることは一番の幸せです。
私たちが生まれるずっと前から存在し続けてきた今回の題材に写真家達は選ばれたともいえます。同時代に存在する様々な被写体、題材をどうリンク、共存させ理解していくかというのが今回のテーマです。
選んだ3つの題材は、北海道のアイヌ、台湾のアミ族、新潟の中越地震以降5世帯のみになってしまった山間部の集落です。
これらの題材をワークショップ・プロコースに参加した写真家達に撮影していただく事によって、被写体の共通性または多義性がはっきりとしたものになるのではないかという試みです。
写真は個人の視点を表現しながらもそれ以上の情報が含まれているのが特徴のひとつです。写された写真からそれらの情報を読み取るのも写真家の仕事だと思います。さらに、写真家には偶然の出会いを必然にかえる意識が必要です。
ワークショップに参加頂いた写真家達も与えられた題材という点で、始まりは僕と同じです。
しかし独自の視点を持ち、彼らの中で新しいテーマとして芽生えることがあれば、世界はさらなる価値と広がりを持つことになるでしょう。タイトルの「中間報告」はいまだその過程の始まり、または途中であることを表しています。
各写真家の紹介と題材
森健人さんにはアイヌの写真をお願いしました。
私たちが住む日本でのデリケートな民族問題としてアイヌの事は知られていますが,アイヌ・アート・プロジェクトの結城幸司さんの存在は一部でしか知られていません。アイヌの存続の問題にかかわっている重要人物である結城さんの記録を残す事はとても重要な事だと思っています。2010年の7月に行われたコシャマイン慰霊祭で結城さんが祭司をされるという事で,その様子を撮影していただきました。結城さんはアイヌ・アート・プロジェクトというロックバンドもやっており、2010年の5月に行われた、民族会議でのライブも森さんは撮影に行っています。
塩崎亨さんには台湾原住民アミ族を撮影していただきました。
彼は2010年7月に行われた台東県都蘭で行われた豊年祭の様子をメインに、現地では祭りの準備から終わりまでの期間滞在し、現在のアミ族のヒーロー的存在であるスミンを追って台北での撮影も続けられました。スミンはトーテムというロックバンドのボーカルも務めていましたが,この春からソロ活動も開始し,塩崎さんはスミンの台北でのライブの様子も撮影しています。8000枚近く撮られた中から今回の写真を選んでいただいています。
菱田雄介さんには池谷集落の撮影をおねがいしました。菱田さんは池谷集落に代々住んできた村民の方々の生活とポートレートを撮っています。菱田さんはテレビ局で番組のディレクターを務めている事もあって、今回の題材に対してインタビューも含め積極的な取材をしています。村民の方達のアルバムをお借りするなどして,昔と今の比較など様々な観点から現在の集落の様子をとらえようとしています。
浅井広美さんにも同じ池谷集落での撮影をおねがいしました。浅井さんは新たに農業を体験するため引っ越してきた若い家族、多田さんの生活と村民との交流、そして彼らにこの移住先を紹介したボランティア団体JENの池谷集落に置ける活動を通して、交流の実際の様子と実状をとらえています。この地域伝わる民謡や踊りを覚え、集落の住民と一緒に踊る事で、さらに交流を深めようとする若者達の努力も浅井さんの写真はとらえています。
伊藤郁さんは都会の風景を作品として撮っている写真家で、今回は三つの題材それぞれの場所に足を運んでもらいました。それぞれの生活を育む土地の存在を、地形やそこに生える植物や岩のかたちなどを通して、古代からの地盤を想像させる風景を撮影をしてきました。都蘭は海沿いの町、背には山々が連なっています。池谷は平家落人の開いた村として山間奥深い所に位置して、周りは山に囲まれています。北海道はアイヌの土地として知られていますが,その中でも彼らが生活してきたであろう場所はいまでは変化をとげてしまっています。しかしそれでもその痕跡を探す作業が伊藤さんの中で続けられました。
彼らには今回写真の他にそれぞれの撮影時の感想文を書いてもらっています。
実際に彼らがどう感じながら撮影したかを読んで頂ければと思います。
若木信吾
ギャラリートラックス
撮影:若木信吾
明日は森健人さんによるレポートを掲載します。
展示の詳細はこちら。
2010-09-13 12:17:00
