
本日ご紹介するのは石塚元太良 『氷河日記 プリンスウィリアムサウンド』、
アラスカの氷河や氷塊の写真と、その撮影の日々を綴った日記です。
本作品を撮った写真家・石塚元太良さんは1977年生まれ、10代の頃からアフリカやアジアなど世界各地を旅行し、旅先で出会った人物や風景を写真に収めてきました。主な作品に、アラスカの大地を走るパイプラインを写した『Pipline Alaska』(2006)、東京の河川をカヤックに乗りながら撮影した『INNER PASSAGE』(2011)などがあります。 
本日ご紹介する写真日記は、今年1月に石川県金沢市のギャラリーで開催された写真展に伴い、限定300部で刊行されたものです。「氷河日記」というタイトル通り、石塚さんが2009年夏、アラスカの プリンスウィリアム湾に滞在し、氷河の写真を撮った約20日間の記録をまとめたものです。厳しい大自然の中での撮影の日々を、淡々と記す文章にひきこまれます。
どんなに疲れていようとも、一度海に漕ぎだしてしまったら、あとは引き返す
ことなど許されない。ただただ、流され、漕ぎ、流されて、漕ぐ。(中略)
地図は麻薬のようである。地図で自分の位置を確認することは、
なんとも魅惑的な行為であることか。
まだたいして進んでもいないのに、目の前の現実の景色と照らし合わせて、
すぐに地図の中で自分の位置を確認したくなる。
自分の進んだ距離を知りたくなる。
目的地までの残された距離を知りたくなる。
なぜかそれだけの事が、癖になる行為である。
(p.120-121)
やはり人間は自分の今いる位置を確認したい、せずにはいられない生き物で、それがアラスカのような大自然の中では「地図を見る」というわかりやすいほど象徴的な行動になって表れるのだな、ということがよくわかる箇所でした。
ほかにも、読書好きの方は興味をひかれるような、旅へ持っていく本についての言及もあります。重い単行本、貴重な絶版本は論外。軽くて、読んだら捨てることも可能な文庫本が好ましい。気分転換に気軽に読める本より、「ごりごりの古典」が石塚さんのお気に入りだそうです。今回の旅には、フロベールの『感情教育』、カフカ『アメリカ』をアラスカのテントの中で読むという場面がありました。
限定300部ではもったいなく思えるほど、写真も文章も両方楽しめるおすすめの1冊です。SPBSでは、著者のサイン入り本をご用意しております。この機会に是非どうぞ。
担当:江口
※ご購入はこちらからどうぞ。
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2012-02-08 15:43:00
