柴田 隆寛のBlog

フランスからの使徒。



ヌイグルミの人文字で「噂」と読めるのわかります?


現代アートは難しいとよく言われるけれど、例えばフェルメールとかゴッホの絵を観たときに感じるような「美しさ」が、現代美術においては、すでに作品からバッサリと抜け落ちていることも多いから、鑑賞者は躍起になって、その背後に隠された表現者の意図や思想を汲み取ろうと高尚に考え過ぎるあまりに、罠にはまっているだけなんじゃないかとも思う。だから、アートって別にわかんなくてもいいし、単純に面白いかどうか。背筋にビビッと電気が走れば、それでいいじゃんって思ったりする。

日曜日、六本木ヒルズの森美術館に「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」展を観に行った。フランスを代表する女性アーティスト、アネット・メサジェは、1970年代から絵、写真、記事、拾い集めたオブジェ、言葉、剥製、ぬいぐるみ、布、刺繍、糸、編み物など、さまざまな素材を用いて、作品を作ってきた行ってきたアーティスト。




トリの剥製にファンシーなニットがシュール。
「寄宿舎たち」と名付けられた作品。



“彼女は聖と俗、ユーモアと恐怖、愛と悲しみ、女性と男性、動物と人間、子供と大人、生と死、表と裏など、人間の相反する複雑さを日常の視点から浮き彫りにします“(ホームページよりコピペ)


う〜ん、確かに。そうだなとは思う。だけど、エロスとタナトスとか、生と死とかそんなんもうどうでも良くて、鳥の剥製にニット被せちゃうようなポップなセンスが、エスプリとかユーモアっていうレベルを超えて素直にヤバいと思う。インテリアとして、プルーヴェのヴィンテージのシェルフの上に、もうズラッと並べたいぐらい(プルーヴェ持ってないけど……)。そういう意味で、ものすごく現代的とは思う反面、
ものすごくタイムレス。その作品の真意がわからずとも、単純に視覚的にも楽しめるのがナイス。目をくりぬかれたヌイグルミの死骸を観ながら、子供たちのはしゃぐ姿が印象的だった。


[info]
アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち
2008年8月9日(土)~2008年11月3日(月・祝)
@森美術館
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)

2008-08-28 20:02:00

京都の思い出は、ちょっぷり豚骨しょうゆ味。(3)珈琲編



「KAFE 工船」は、最近のコーヒー・ベストバウト!


豆餅を買って、真っ直ぐ打ち合わせ場所へ向かおうと思ったけれど、先日シブヤの「オオヤコーヒ焙煎所」の出張屋台でコーヒーを入れてくれた女の子が、近所でカフェをやっていることをふと思い出して、「あと20分ぐらいは大丈夫」とひとりごちて、河原町通りを今出川方面と下ルことにする。


「分かりづらい場所だから」と聞いていたので、探索するのをそそくさと諦めて、お店に電話をすると、彼女はちゃんとシブヤで会った時のことを覚えていてくれて、その親切なナビのおかげで、意外にもすんなりと辿り着くことができた。小さなギャラリーが同居する昭和の匂い漂うレトロなビルの2階。「KAFE 工船」という名前だからといって、「蟹工船」よろしくプロレタリアで、ハードコアな空間が広がっているはずもなく、窓辺から優しい自然光が心地良く差し込んでいて、入り口に置いてある味の出た焙煎機に思わずワクワク。





自分は「いかにも」というカフェを心の底から嫌悪する人間なので、おしつけがましくないこの淡々とした質素な感じが最高。挨拶もそこそこに、早速カウンターに座って、深入りのブラジルでアイスコーヒーを入れてもらうことにした。コーヒーを待つ間、彼女と居酒屋の話で盛り上がる。川端二条にある「赤垣屋」に一度行ってみたいと話をすると、賀茂川から夕陽が差し込む早めの時間が最高だと教えてくれた。今回は、時間がなくて残念ながら行けなかったけれど、また京都に来る楽しみがひとつ増えた。





話をしている間も彼女は手を止めることなく、丁寧かつ慎重にネルにお湯を差し、コーヒーを入れてくれている。ちょっと儀式めいていて、待っている時間も悪くない。辻和美さんのガラスのコップ入れて供されたアイスコーヒーは、やっぱりシブヤで飲んだときと同様、圧倒的においしくて、思わずさっき買ったお土産をなかったことにして、豆餅を食べながらガブガブ飲みたい衝動に駆られるも、さすがにちょっとセーブ警察。次回は豆餅とコーヒーのコラボで決定。もうひとつ京都に来る楽しみが増えた。


[info]
KAFE 工船
京都府京都市上京区河原町通今出川下梶井町448
清和テナントハウス2階G号室
tel/075-211-5398
水〜日/12:00〜20:00 月・火休

2008-08-27 18:45:00

京都の思い出は、ちょっぷり豚骨しょうゆ味(2)豆餅編



売り切れ御免! ふたばの豆餅¥160也


「おおきに、どうも〜」。おかみさんの声に見送られながら、店を出た。時計の針は、まだ午後1時を過ぎたばかり。3時からの打ち合わせには、まだだいぶ時間あったので、「そうだ! 手土産を買っていこう」と思い立ち、京都が誇るおまん屋さんの殿堂「出町ふたば」に向かうことにする。


京都の人に京土産を渡すのは、何となく気が引けたけれど、そこは個人的に日本最高峰と信じて疑わない、ふたばの豆餅。アンチ・こしあん派の自分をも魅了する、塩気のきいた豆とサラッとしたこしあん、そしてそれらをやさしく包む込む文字通りモチモチの餅! きっと喜んでくれるに違いないと恩着せがましく自己完結。もちろん、その他にもちゃんとした理由がある。


賞味期限は当日限り。もちろん、翌日もそれなりにおいしいのだけれど、あのモチモチとした食感はもう二度と戻らない。刻一刻と餅が固くなっていくため、本当はレジでお金を払った瞬間に、その場でパクつくのがきっと正しいんだろう。だから、当然お取り寄せ不可。東京人だろうが、京都人だろうが、わざわざ買いにくるしか道はない。


汗だくで店に辿りつくと相変わらず盛況で、目の前で豆餅が2個、3個と飛ぶように売れていく。半年ほど前に来た時と、何ひとつ変わらぬ光景。きっとそれは、創業以来変わらぬ風景。「また来れて、良かった」。だからこそ、そう思えるのかもしれない。




[info]
出町ふたば
京都府京都市上京区出町通今出川上ル青竜町
8:30~17:30 火曜・第4水曜

2008-08-26 14:00:00

PROFILE

takahiro_shibata

柴田 隆寛

編集者
編集プロダクション、EATer(イーター)所属。
雑誌を主戦場に、書籍やリトルプレス、webの編集を横断的に行う。 主な仕事に『HUGE』、ロバート・ハリス著『人生の100のリスト』(ともに講談社)、「BEAMS」、「Francfranc」カタログ、「MOTTAINAI」キャンペーンコンセプトブックなどがある。 また、ライフワークである掃除道具プロジェクト「SCRUB & Co」のメンバーとしても活動中。 EATer www.eater.jp 

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