柴田 隆寛のBlog

「編集ワークショップ」についての雑考

連休最終日。
しかも、夕方という時間にも関わらず、
「編集ワークショップ2009」のプレトークに
ご参加頂いた方々に、この場を借りて御礼申し上げます。

今日は自分が編集という仕事に興味を持ったきっかけなど、
少し書いてみようかと思います。
よろしければ、しばしお付き合いください。

…………………………………………………………………………………

90年代、都内の私立男子校に通う僕らのバイブルは、
「ホッドドッグプレス」と「ポパイ」(オリーブも青春!)、
そして「スタジオボイス」といった雑誌でした。
渋カジ、キレカジ、デルカジ、J-WAVEの開局にテックスメックス。
フリッパーズギターにセルジュ・ゲンズブール。
そして、ビートジェネレーションetc.……。

当時は当然のことながら、インターネットもケータイもない時代。
情報の餓えに苦しんでいた自分の人格は、
10代の頃呼んだ雑誌(あとクラブ活動)によって
形成されたといっても過言ではありません。

そして、キモチいいぐらい雑誌に踊らされていた自分が
やがて興味を持ったのは、ページのスタッフクレジットでした。
「一体どんな人がこんなオシャレなページ作ってるんだろう?」
最初はそんな好奇心から出発したと思うのですが、
次第にそっちの方が気になっちゃって、
好きなカメラマンやライターのクレジットを探して、
雑誌をむさぼり読むようになっていました。

だけど、最終的に行き着いた興味の矛先は、カメラマンでも
ライターでもスタイリストでもなく、クレジットの載らない
編集者と呼ばれる類いの人たちでした。稚拙な例えで恐縮ですが、
「広場を作ってる人が、もしかしてイチバンすごいんじゃないか」
17歳頃の自分には、そう思えたのです。

それから、18年経って、幸運にも編集という仕事を生業とし、
10代の頃憧れていた編集者が直属の上司にいたり、
今回のワークショップでも自分の人格形成に
多大なる影響を及ぼした先輩編集者にお声がけさせて頂くという
恵まれた環境のもと、仕事をさせてもらっていますが、、
編集者って、そんなに偉いモンじゃないというのが、
今のところ、この仕事を12年やってきての率直な感想です。
諸先輩に対するリスペクトを失ったという意味ではなく、
もちろん、自分が、という意味です。

昨日も少し話をさせてもらいましたが、
悲しいかな、編集者はゼロからモノを生み出せる
クリエイターではないんですね。結局のところ。

荒れ狂う日本海で本マグロを釣りあげる漁師を
第一線で活躍するクリエイター(写真家等)とするなら、
漁に出るスキルと勇気のない編集者は、
市場で待つ仲買人のようなものです。

最前線で闘う漁師の努力にどう応えていくのか? 
釣ってきてくれた魚をどう扱い、どうさばくのか? 
どうやっておいしく食卓に届けるか?
そして、漁のヒリヒリするようなライブ感や臨場感を
「伝わる」ように「伝える」ことが
編集者の仕事なんじゃないかと思うわけです。
クリエイターにリスペクトを込めて。

だから、自分の中では100部のZINEであっても、
10万部の雑誌であってもテンションが変わることはないし、
ファッションだろうが、エコだろうが、ブラジャーだろうが、
テーマが変わっても、スタンスは変わりません。

もちろん、テクニックも重要だとは思いますが、
極論すれば、実はそんなことたいした問題ではなくって、
ものすごくプリミティブな話になっちゃいますけど、
大切なのは、人・モノへの対峙の仕方のような気がするのです。
作業としての編集ではなくて。

昨日、伊藤総研さんも言ってましたが、
編集って本当に恐ろしい仕事だと思います。
だって、いろんな人の思いを編まなければ、ならないから。
責任重大、だけど、そこが醍醐味なんだと思います。
生々しい、時にヒリヒリした人間関係の中から、
モノができあがっていくわけですから。

だから、編集って仕事の本質的な部分についても、
ワークショップに参加して下さるみなさんと
ガチで考えていければと思っています。
頭はニュートラル、心はトップギヤで。

みなさん、どうそお手やわらかにお願いします!



















2009-10-13 17:15:00

PROFILE

takahiro_shibata

柴田 隆寛

編集者/EATer所属。雑誌を主戦場に、書籍やリトルプレス、webの編集を横断的に行う。 主な仕事に『HUGE』、ロバート・ハリス著『人生の100のリスト』(ともに講談社)、『リサ・ラーソン作品集』(ピエブックス)、『KAT-TUN LIVE DOCUMENT PHOTOBOOK』 (角川グループパブリッシング)、「BEAMS」カタログ、「MOTTAINAI」キャンペーンコンセプトブックなどがある。 また、webサイト「夢の病院をつくろうPROJECT」のメンバーとしても活動中。
EATer:http://www.eater.jp/ 

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